レコードいろいろ

本来なら「黒ニャゴ」の事を書かなきゃならんのだが後回しにする。
ウィキペディア『超時空要塞マクロス』の記述に、EPレコードとSPレコードを勘違いしているのを見つけ、知人たちと大笑いしていたのだが、約一名が「間違ってんのはオマエだ、ばーか(笑」みたいな事を言い出した。聞いてみると、どうもはてなキーワードに書いてあるデタラメを信じたらしい。
その記述がコレ↓。

アナログ時代は主に7インチ4曲入り33 1/3回転のレコードをさした。シングルでは物足りないがアルバムは高価だと感じる層に受け入れられていたようだ。60年代にレーベルが主導で(多くはアーティストに断り無く)リリースする例が多かった。各国独自のリリースも多く、特にブリティッシュビートバンドのフランス盤EPは独自デザインの、センスいいジャケットでコレクターに人気が高い。
80年代頃からリミックスなどを収めた12インチシングル(45回転の場合が多い)がこれに取って代わったが、12インチ自体がEPの一形態とも呼べる。
CD時代になると、5インチ(12センチ)ディスクに4曲(またはそれ以上)収録したものをEPと呼ぶようになっている。特にマンチェスタームーブメント以降はこの形態がかなり見直されたようで、「○○EP」とタイトルされた(○○は必ずしもリードトラックのタイトルではない)リリースも多い。

よく所謂シングル盤のことをEPと呼ぶ人がいるが、これは間違い。また、3曲入りの場合マキシシングルと呼ばれる場合が多いが、この辺もだいぶ混同されているのが現状。アーティストやメーカー(レーベル)側の気分によって使い分けられている面もあるようだ。

元の記述主、EPレコードの発売が1949年で、コンパクト盤の発売が1960年前後*1というのを知らないらしい。と言う事ではてなキーワード全面的に書き直しておいたので、ついでにコラムで取り上げる。

  • レコードとは:音声記録媒体の総称で、狭義では円盤状の記録媒体に螺旋状に凹凸を刻んだレコード盤の事を言う。ここでいうレコードとはレコード盤の事である。レコードに記録された音声の再生には専用のプレーヤーを使用する。専用プレーヤーでは針またはレーザー光線で刻まれた凹凸の振動を電気信号に変化し、スピーカーから音を出す仕組みになっている。CDの発売により絶滅寸前まで追い込まれるが、主にオーディオマニアにより支持を受け続け、今でも限定的に生産されているが、日本国内でレコードプレスできるメーカーは一社のみとなっている。
  • レコードの種類:SP、LP、EP、フォノシートに大別される。基本的にはレコード径と速度で区別される。
  • SP:Standard Play(ing)の略。主に、回転数78r.p.m.の12インチ盤。片面約5分程度の録音・再生が可能。モノラル録音のため、音質はあまり良くない。回転数は統一されるまで複数の規格があり、最高96回転のものが確認されている。収録時間の短さから当時人気のクラシックや落語のSPは組枚数が凄い*2事になり、阿漕な商売も登場したため、収録時間の長いレコードの開発に繋がった。SPという呼称はLP登場後に後付けされたもの。EPの登場により衰退、消滅した。
  • LP:Long Play(ing)の略。主に、回転数33と1/3r.p.m.の12インチ盤。片面約24分の録音・再生が可能。1948年に米コロムビアから発売された。モノラルまたはステレオ録音。1960年代頃から7インチに4曲から6曲、約8分収録のコンパクト盤が発売され、お得感*3から人気を呼んだ。
  • EP:Extended Play(ing)の略。1949年に米RCAビクターから発売された。回転数45r.p.m.の7インチ盤。片面に約5分の録音・再生が可能。片面に1曲しか収録できない程度の容量しかないため「シングル盤」と呼ばれる。また、その形状から「ドーナツ盤」とも呼ばれる。コンパクト盤LPが衰退した後、7インチサイズのレコードをEPと呼ぶと勘違いした人が多くなり、EPを7インチ盤の総称とする誤った認識が広まった。1980年代頃には俗に「ジャンボシングル」と呼ばれる12インチEPも発売された。最近ではオタク向け商品として、イベント等で限定販売されている。
  • フォノシート:製造コストの安いぺらぺらのレコード盤。レコード付きの読み物=本として主に書店で売られていた。また、よく雑誌の付録に付いてきた。宣伝材料としても利用され、フォノシートが貼付られたはがきがメーカーから送られてきたりした。薄っぺらいので簡単に折れるし破れる。33と1/3r.p.m.で7インチが基本だが、レコード径は10cm程度のものから20cmくらいまで様々。レコード厚により片面録音だったり両面録音だったり。よく使われている「ソノシート」は朝日ソノラマ*4の商標だが、携帯型音楽プレーヤーを総称して「ウォークマン」と言うのと同様、世間的な認識としては別に間違ってはいない。「ソノシート朝日ソノラマの商標だ!」とか、その事を知らない人を馬鹿にしているヲタクは注意するように。


画像は世界最小かもしれない直径約9.5cmのソノシート。何年も前から友人に借りっぱなしのモノ。すまん、T先生。

*1:俺の調べた範囲では1963年が一番古い。よう知らんけど。

*2:組み物はアルバム状の形態で販売されていたため、収録数が多いモノを「アルバム」と呼ぶようになった。

*3:昭和40年代の実例で、12インチ1000円程度が7インチ400円程度

*4:朝日ソノプレス社。2007年解散。現在商標を持っているは朝日新聞社